【レポート】1/13 沢木太郎講演会「巡礼の旅」@浜離宮朝日ホール

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沢木さんの最新情報はTwitterにて→ @swk_fan

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遅れてすみません。早々にフォロワーさんのレポートがいくつも上がっている状態なので、もう書かないでいいかなあと思ったりしたのですが、一応。(他の方のレポートはTwitterでRTしたのでぜひご覧ください。)細かいところがけっこう曖昧になってしまいましたので、内容に間違いがありましたらお知らせください。

 

2018年1月13日(土)、浜離宮朝日ホールでの沢木耕太郎さんの講演会へ行ってまいりました。管理人が沢木さんの講演会に行くのは、2016年11月@成城ホール以来です。

 

今回の講演は、JTBが主催する「旅行文化講演会」というもので、なんと無料で聴かせていただけたのでした。講演の前後にちょっとした宣伝があったので紹介しますと(無料の引け目、ステマではありませんよ!)、「JTBグランドツアー」というツアーの企画・販売・実施を一貫して提供する会社を新たに作ったそうで、少人数制かつ、企画した敏腕スタッフ*1たちがツアーの添乗までしてくれるとのこと!はっきり言ってかなりハイクラスなツアーのため、管理人には無縁の世界ですが・・・。そして、『深夜特急』的バックパッカーとも真逆のものですが、まあ当時旅をしていた方々もそれなりの年齢になり、こういうゴージャスな旅ができるようになった方も少なからずいるのでしょう。

実際、講演会の参加者は中高年が圧倒的(私もしっかりミドルエイジですが)。しかしこれでも他の講演より若い方が多いとのことでした。男女比は半々くらい?先着300名・満員キャンセル待ち状態だったので、客席はほぼ埋まっていて、沢木さんも第一声から「広い部屋にお客さんがびっしりだと喋りがいがある」というようなことをおっしゃっていました。

 

さて今回の演題は「巡礼の旅」。しかし終わってみると、その言葉は一度も出てきていないような。旅の話自体が少なめでした(笑)。

「巡礼」とは本来は宗教的聖地へ赴くことですが、ここでは比喩的に「先人の足跡を辿る旅」のことでしょう。沢木さんの場合は『キャパへの追走』や後述する司馬遼太郎『街道を行く』にちなんだ旅などでしょうか。

そしてこの講演の前日(!)、久しぶりに古本屋巡りをしていたところ*2たまたま『僕たちの深夜特急』という沢木さんの旅をなぞった旅をした本*3を見つけたのだそうです。噂には聞きつつも現物を見たことがなかったとか・・・。そして、それを読むうちに今回の講演のテーマが思いついたと(笑)。

ざっくりまとめますと。

旅には「足跡を辿る旅」と「自分で作り出す旅」の二種類があり、以前は「自分で作り出す旅」を好んでいた。でも最近は、「足跡を辿る旅」も実際に旅してみると思い描いていたものとは絶対に違う部分があるし、旅する人によっても違うものになるので、これもまた立派な旅だと思うようになった。

そしてそれは人生においても同じで、ロールモデルがいるような人生であっても、実際に生きる中では一人ひとりの違った人生になる。自分は先人のないような道を切り開いてきたけれど、今になるとそのプロセスは好みの差であって、たいした違いがないのでは、というところに昨日(※講演当時)たどりついた。

やや乱暴ですが、こんな感じでしょうか。古希を迎えられた沢木さんならではの視点で、皆さんもなるほどと聞いておられました。

 

そして講演のお楽しみの一つ、沢木さんの華麗なる交友録!

ハワイが大好きなのは、女優でエッセイも素晴らしい高峰秀子さんも同じ、だとか。今回の講演では高峰さんを軸にいろいろとお話を広げていらっしゃいました。お互いのご著書が大好きだったところから交友がスタートしたそうです。

高峰さんも加賀まりこさんもオーラがすごいので、そばを通る人が全員、思わず振り返って見ていた、とか。

それから昔は司馬遼太郎さんや松本清張両さんとの対談を断ったとか。偉い先生方はこちらの著作を読んでいないだろうから、話しても仕方ない・・と当時は考えたけれども今となっては「やっときゃよかった〜」(笑)

しかし同じ大物でも淀川長治さんとは対談したそうです。そしてびっくりするような有名な方と会った話をお聞きしたとのことで、こちらとしても非常に興味深いお話でした!(ただちょっとここで書くのは憚られる内容のため割愛です、、)

ちなみに司馬さんが亡くなられてから、『街道を行く』の連続ムック本の冒頭にエッセイを書くことになったそうで、「巡礼の旅」的ものをしたそうです。そのお話もとても面白かったのですが、なかなか全ては書ききれませんね...。

 

今回も一時間半があっという間に終わってしまいました。そして沢木さん、毎回講演の最後はあっさり終わってしまうので、とても名残惜しい気持ちになってしまうのでした。 沢木さんは相変わらずシュッとしていてとても格好良かったです。特に女性のお客さんたちはとても盛り上がっていて、雰囲気も良かったです。

クリスマスのラジオでもおっしゃっていた通り、ハワイでの執筆はあまりはかどらなかったようで、 新作のお目見えは残念ながらまだ先のこととなりそうです。

 

最後に...完全なる余談ですが。今回の講演は手話通訳の方が二人、交代でずっと手話をつけてくださっていました。一時間半ほどなので大変な重労働だと思われます。しかも、「雲南省昆明」とか「カシュガル」とかの専門用語?ががポンポン出てくるので、こちらがドキドキしてしまいました。一文字づつ手話に変換しているようにも見えました。事前に打ち合わせなどをしているのでしょうか...大変なお仕事です。間近で見られて専門職のすごさが伝わってきました。

 

*1:深夜特急』に影響を受けて旅行業界に入ったと話すスタッフが何人も。また講演終了後にはあちこちでスタッフとお得意様?が親しげに談笑する姿が。

*2:以前は資料探しの際に神田などの古本屋を何日もかけて歩いていたけれども、近頃は目当てのものがあっさり見つかるのでもっぱらAmazonをはじめとするネットで探してしまうそう

*3:Twitterでその後ご本人にこの日のお話が届いていました!すごい時代ですね。