【レポート】11/20 沢木耕太郎講演「旅の不思議、書物の不思議」@成城ホール

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沢木さんの最新情報はTwitterにて→ @swk_fan

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2016年11月20日(日)、成城ホールでの沢木さんの講演会へ行ってきました。

管理人が沢木さんのお姿を見るのは2008年早稲田祭の講演以来で、大変集中していたらしくメモを取っていなかった割にかなり詳細に書き起こせました。が、書き上げてから「書き起こしは著作権的にNG」ということに気づいて大幅に削除しました...。遅くなってしまい申し訳ありません。

  

今回の講演は、世田谷区教育委員会・中央図書館が主催する「平成28年度文字・活字文化の日記念講演会」というもので、第1部は子ども読書リーダー(子ども司書)の朗読、第2部が沢木さんの講演という仕立てでした。

この第1部では、『深夜特急』第一便の香港・スターフェリーの<六十セントの豪華な航海>のくだりをこどもたちが朗読するというニクい演出が!そしてそれを楽屋のモニターで聞いていたという沢木さん、完全に親目線で、失敗しないかとハラハラしながら聞いていたとのこと。

そして、以前大沢たかお秦基博のコラボイベントでご自身も大沢さんと一緒に朗読したという話に。大沢さんはご存知の通り「深夜特急」ドラマの主演で、ロンドンのゴールの際には沢木さんも現地に駆けつけて一緒に飲んだそうで(これはエッセイで書かれていたような...)その頃からのご縁なのですね。

 

また、朝日新聞連載『春に散る』の着想についても語られました。

2012年、モハメド・アリのトレーナーだったアンジェロ・ダンディが亡くなり、アメリカまでお葬式に行ったそうです。本人とは何度か会ったことはあるものの親しいとまでは言えないくらいだったそうですが、在米日本人の友人がアンジェロと仲が良く、お葬式に一緒に出てくれないかと言われたため、フロリダへ。

アンジェロは世界一有名なトレーナーと言われる方だそうで、パーキンソン病を患うアリも奥様と一緒に出席。そのほかボクシング関係者が多数出席していて、アンジェロの葬式というよりもアリの生前葬という感じが強かったそう。(そしてアリは今年の6月に亡くなられましたね)

式が終わってからその友人とドライブをしているときに、実は昨年大きな心臓の手術をしたと打ち明けられたとのこと。手術は成功したもののいつ死ぬかもわからない...と思う中で、「でも日本には帰らない?」と聞くとうなずいていたと。

彼は帰らない、でももし元ボクサーが日本へ帰ったらどうなるだろう?と考えたところから一気に『春に散る』の構想が浮かんで来たそうです。ちなみにそれまではこの朝日新聞の連載には全く違う話を考えていたとのこと。

 

そのほか、昨年からは日本国内の旅行へ行きはじめたお話も。 

深夜特急』以前は国内へしか行ったことがなく、以後は一転してほぼ海外のみ(国内への用事を除く)。それがまた国内へ回帰しているそうです。

『春に散る』の裏設定で、主要な登場人物のうちの一人の出身地を山形の遊佐(ゆざ)出身ということに決めたので行ってみたり。また、青森の龍飛崎〜小泊、金木あたりの太宰治ゆかりの地へ行ったり。

 

沢木さんが旅によく行くようになったきっかけは中学生の時に父親から小田実『何でも見てやろう』を買ってもらったから。(この辺りは『無名』か何かで書かれていたような…)そして今回、青森へ行ったのは父親が文学全集の太宰治の巻を買ってくれたからかもしれない...そして父が買ってくれたのはこの二冊だけ。

これが今回の講演のテーマである「旅の不思議、書物の不思議」につながるよね、というところに着地してお開きになりました。

このほかにも「バカラの必勝法」など興味深いエピソードがあったのですが、時間の関係(?)であまり深く語られず、残念でした(笑)

かっちりした講演というよりは、リラックスして笑いを交えながら色々とお話してくださり、ライブ感溢れる一時間半でした!